いざ訊かれると何十回と考えたはずなのに口から言葉が出ない。どうしても適当な嘘を伝えられず、正直に「今は考えていない」と答えを伝える。
相手によっては、笑いながら「そのうちねぇ」とか「制度に問題が」とかふざけ半分本気半分でするすると答えられるのに。
器用なようで不器用だなとじぶんを客観視しながら、改めて本音を探る。
ようやく「どんな仕事でもとりあえず食べていく分は稼げそうだ」というのが腹落ちしたのが昨年。そのうえで「どんなことならより良い効果がじぶんと社会に生まれるか」を模索し始めたのが今年。
暮らし方もそう、シェアハウスを終えたのが3月。一人暮らしをはじめたのが4月。
移動の仕方も、バスとタクシーだった数ヶ月前から、今では原付に乗って移動するようになった。
そういえば昨日は初めて原付で温泉へ。
馴染みのおねえさんと、娘さん、そのお母さんと一緒に。お風呂上がりのアイスは小学一年生になった彼女と半分こ。束の間のいい時間だった。
「子どもを産みたい」欲求とは
言われた言葉を眺め直してやっぱり「子どもを産みたい」という欲求がじぶんのなかに湧いてこないのを感じる。
「子どもが欲しい」という言葉はたいていの場合、子どもそのものではなく、それによって得られる何かを欲しているように思えて、ほんのりと嫌悪感を持つ。
結婚もそう、結婚という制度に対して「その制度を活用したい」という願いではなく、どこか架空のストーリーを求めて「結婚」が語られる場面のほうが多い。
それは過去のいろいろを呼び起こすのか、わたしはすっかりそれら2つの言葉のアレルギーになっている自覚がある。
ぽんとてんとの3人での暮らしのなかで、まざまざと人間ひとりひとりのセクシュアリティーの違い、心地よいと感じるパートナーシップの違いを見せられ、いかに「普通」なんてものが架空かを学んだ。
それは幸せなことだった。誰かを「そんなの普通じゃない」と糾弾する浅はかさを減らせたから。
わたしは普通じゃない、でも目の前のあなただって普通なんかじゃない。普通なんていうものは「より消費をする存在」を望んでつくられた架空のものだろう。
とはいえ人間が社会的な生き物だというのは普遍的なこと。(たかだか120年くらいの今の婚姻制度は「普遍」とは思わない。恋愛結婚なんて数十年!これが世の中の当たり前になっているのはメディアと広告と創作物の力、すごいことだ。個人的には平安時代の通い婚のほうがまだ好み。)
結婚も出産も想像できない
好きなひとと暮らしたいなぁとは思う。6年弱大好きなひとと暮らし、だめだめな一人暮らし、シェアハウスを経て、ちょっと上達した一人暮らしをして半年。
次はもう少し広い部屋で、好きなひとと暮らしたいなぁと思う。
避妊もしたくてしているわけではないので、一緒に暮らしたら赤ちゃんを授かるかもしれない。妊娠率ってそもそもそんなに高くないので、それはわたしのコントロール外だ。
それでも、もう少しお金の使い方がうまくならないとおんぶに抱っこな大学時代と大差がなさそうだし、適切なものの量もまだ掴みきれてない。
このあたりを今の暮らしで身につけられたら、次は気持ちよく誰かと暮らせるはずだ。
数字のシミュレーションは感情を伴わない
いつか思うのかもしれない、いつか数年後の暮らしを、数十年先の暮らしを違和感なくシミュレーションできるようになるのかもしれない。
でも、今はできない。
「もう大人なんだから」と何度もシミュレーションにトライしているけれど、3ヶ月前のじぶんが今のことさえ想像もできなかったように、3ヶ月先のじぶんのことを想像できない。
数字を入れてもエクセルの表の中身が変化するだけで、感情が揺れない。感情が揺れないことにはなにも始まらない。
感情を至上命題と捉えているわけではなく、感情は良い羅針盤であると思っている。
そして、羅針盤が反応すらしないシミュレーションにはやっぱり実態がなく、そのシミュレーションのために現実を動かすなら、それは本末転倒な気がしてしまう。
1年先も、3年先も、30歳になっているじぶんも想像できない。わかるのはいつだってじぶんの選択とまわりのひとのおかげで、ちゃんと幸せであれることだ。
それがわかっているだけで今は十分なので、付き合うとか結婚とか妊娠とか、なんにも考えたくない、すごく混乱してしまう。じぶんが一番じぶんの味方なので、きっかけが大好きなひとの声だったとしても、それを理由にじぶんを追い立てることはしない。
わたしも結局、生きるのが上手じゃないほうのひとなんだと思う。でもちょっとずつ上達しているから希望はあるはず。
すこし寂しい考え事だった、でもこんな風にしか思えないじぶんでひとを好きになって、こんな風にしか思えないじぶんのことをいいと思って時間と空間を共有するのだから。
今はこれでいい。あと1年くらいはこれでいいよと、じぶんを大切にするために期限を雑に設定しておく。
引き続き、真摯に取り組んでいく所存です。
グラデーションのある人間関係に支えられているね、家族だけ、会社だけ、恋人だけだったら、ダメになっちゃうと思う。
変わり続ける勇気を持とうとじぶんにエールを送る。
いつもありがとう。