このお家はほんとうに居心地がいいなぁと思いながら猫になったような気分で寝そべって窓の端に見える満月を眺めていた。
テレビから聞こえる吹き替えの声は賑やか、みんながあまりにも簡単にキスしたり頬寄せたりしている。
文化が違えばスキンシップの意味合いも変わるのだなとゲラゲラ笑いながら大まじめに考えていた。こないだの全裸監督から受けた衝撃も時とともにだいぶ落ち着き寛容になる。
性的なスキンシップってほんとうに大切に思っていなくたってできることなのだ。残念だけど。やれやれと頭を振って立ち上がる。
ああお仕事終わらないと思いながら寝不足続きボロボロと荒れていく肌さわりながらごめんねと思う。
もっといい感じにスケジュール組みたいんだけど、どうしたらいいのかわからないんだもんとため息ついてしまうよ。
それでも隙間隙間の時間にとても幸福を感じる、お仕事も幸福だけれど、また種類が違う幸福だよね。
昨晩は結局4時半に寝落ち、お仕事終わらなさを嘆きながら朝のそのそと起き出して2人分そうめんを茹でた。お味噌とめんつゆを溶いてすりごまを加えて冷や汁をつくる。
冷蔵庫にあったピーマンをポン酢で炒めて、ぱぱぱと朝ごはん。
朝日がしっかり差し込む部屋でソファにもたれながら、ああ四月からこんな場所で暮らしたいと願う。
パタパタと車に乗り込み、今日で展示が終わってしまうキムホノ展へ。マグカップの指を入れる部分への考察から、モノの本質を捉える遊び心を学ぶ。
泊めてくれたひとと別れ、お互いの主成分がほとんど同じ、とても似ているのに何か違うひととドライブ。
ほんとうはお仕事終わらせて心置きなく遊びたかったと思いながら、お互いの音楽の趣味までぴったりと合う様子に彼が「前世でもともだちだったのかな?」というから笑ってしまった。
可愛い言葉、前世でもともだち。
来世もよろしくと心のなかでお返事した、、、と思ったらギュインと曲がる車。
「お参りしよう!」と笑いながら神宮へ連れ去られる。こういうところが好きだと思いながら「ありがとう」と言う。満月の日にお参りできるなんてとっても嬉しいこと!
そして突然ってとってもロマンチックだ。
お参りしていつものようにありがとうをお伝えしたら「落ち着いてお参りしなさい」と笑われて「ひとりひとりのひととの出会いを大切に、今のまま役目をしっかり果たしなさい」とよく知る人の声が心のなかでした。
わかった!ときちんとお返事して引いたおみくじは大吉。
恋愛の欄が面白くって、ひとりで苦笑い。
神様ってよく知ってるよね。
「へいへいわかったわかった」とお返事しながら、大好きなloopへ。
お互いの大切な人について話したり、お仕事の話をしたり、結婚観を話したり。
会話ってなんでこんなにたのしいんだろう!と人間に生まれたことを大いに喜んだ。
会話ってとても奥深い。
話しているようで話せていないことの方が多い。受け止めているようで受け流していることやそもそも勘違いしていることも多い。
彼と話しながら、ここ最近少し落ち込んでいた理由がわかってスッキリした。
相手がちゃんとわたしを見てくれていたと誤解していたと気づくことほど寂しいことはない。この傷はしばらくわたしに痛みを与えるだろうと覚悟した。
ひとと話しているようでじぶんと話していたらいつまでも孤独だ。孤独にも多様に種類があって、そのうちのいくつかは人生を生きるうえで必要な孤独だけれど、そのうちの多くは不勉強や不真面目、弱さや逃げのせいの孤独。
つまり出会いを大切にできていないから起きる孤独。相手を利用してしまったことへの悔しさ。
傷だと思ったことはそのままブーメランでわたしに返る。相手に傷つけられたのではない、わたしはわたしを傷つけたのだ。
わたしはどこまで本当のことを伝えていただろうか。わたしはどこまで本当に聞こうとしただろうか。わたしは、、と深く潜っていく。
こうやってひとつひとつ後悔しながらコミュニケーションは上達していくのだきっと。

- 作者: エーリッヒ・フロム,Erich Fromm,鈴木晶
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
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すこし浮かび上がって心に決める。
誰かの像を心に作らない。わたしはわたしとして在り、目の前の人を目の前の人として受け入れる。
批判も批評も必要ない。
ただそのひととして受け入れる。
とても寂しい出来事はとても大きな学びをくれる。loopを出てお天気雨な空模様を眺めながら、わたしはとっても嬉しかった。
どんなに寂しいことが起きても時が洗い流してくれる。どんなに悲しいことが起きても季節が変われば心も変わる。
こないだ実家に電話をかけて知ったニュースはとても悲しく、わたしはそれへの恐れに少し絡め取られかけていたけれど、もうきっと大丈夫。
喜びも悲しみも握りしめず、目の前にあることを大切に生きていく。できるはず、できるはずとじぶんを励ましている。
生きていくのだ!