江國香織の すいかの匂い を読んだ
そのなかに「どうして気づかないの」と少女が嘆くシーンがある
あなたとわたしはいろんな話ができるのに
と、心のなかでつぶやく
でも彼女は小学生で、彼は大学生
とても無理な話だと、彼女は彼と向き合ったときにどうしたって視線が合わないことから思い知る
そして
彼との別れのシーンで、彼女は彼の手を小さく切りつける
江國香織の他の本でも相手の肉体に傷をつけるシーンはときどき出てくる
あなたが欲しいと彼に告げたら彼がおもむろにじぶんの指の皮をナイフでうすくそぎ、その剥いだ皮を主人公が食べるシーンとか、、
痛いのは苦手なので身をすくめながら読む
このふたつ、じぶんのなかにもあると思う
どうして気づいてくれないの の感覚
そして、そのひとが欲しくなる感覚
でも
うまくいえない
わたしが感じるその同質性と、相手の感じているそれがイコールである可能性ってとっても低い
めぐりあえたことだけを喜んで、関係を望んだことは今まで一度もなかった
関係が深まりそうになったことも、結果として深まったこともあったけど、まだ、相手がどのように感じたのか、そのコミュニケーションは取れたことがない
わたしはとってもそれに強い興味を抱いている
あの一瞬でその存在に恋に落ちる感覚、出会ってしまったことへの落ち込み、あれは一体なんなのだろう
相手は同時に何を感じてるんだろう
ぜんぶわたしの勘違いなのか
それがはやく知りたい
相手が欲しい感覚
こちらはおそらく、もともと同じものだったことへの懐かしさ、もしくはその能力への憧れ、手塚治虫のあれに似てる欲求かもしれない
でも、皮は食べたくないけど、、うぇー、、
江國香織でいちばん好きなのは詩集
女に生まれたことを存分に嘆き愛せる一冊
気に入っている