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ひととして

ひととして生まれ、ひととして生き、ひととして死ぬ

満月を浴びながら
自然からできた楽器の音を聴きながら
心に浮かんだ言葉はそれだけだった

ひととして生まれ、ひととして生き、ひととして死ぬ

それ以上でも以下でもない
ただそれを全うするべしと、そう心から思った

未来は過去で、過去は未来だよ
あなたは未来からきたんだよ
すべてを引き受けて生きていきなさい

そう言葉をもらったときのことを思い出した

世の中にはいろいろと不思議なひとがいるもんだ
と、正直に思った

でも、海のそば
波の音に耳を寄せながら
身体にふりそそぐ月の光を浴びていたら
その言葉がすっと理解できたのだ

未来は過去で、過去は未来
わたしは今に立っている

とはいえ、この理解にはほとんど意味がない

大切なのは、今生きているということ
今、生かされているということ
今、すべてを知覚できているということ

それらをあわせると「喜んでいる」になる

ただ、人間として生まれたことを喜んでいる

人間に生まれたことを喜ぶ
その言葉の意味を理解しきれてから死ねるだろうか

人間に生まれた
人間に生まれたのだ

頭のうえ轟々と戦闘機が通り抜けていく
一時間の間に何度も、何度も

慣れてしまうのは簡単だけれど
本島に上陸したその瞬間のことを思う場所にいたので
ただ思った

戦争は終わっていないのだなと思った

人間として生まれた
ひととして生きるという意味を死ぬまでに知れるだろうか

目に見えない世界はとても甘美なように見える
でも実はそうではない

情報は、言い訳やまやかしで溢れている
だけれども、そのなかにきらりと光る真実がある

それが「よく生きる」に集約される
この言葉はおじいちゃんからもらった言葉だ

お前はよく生きられるひとだよ
ただ、そう言ったときのおじいちゃんの顔を
わたしはよくよく覚えている

わたしはよく生きられるひとなのだ

よく生きるというのは、たぶん
わたしの思う「人間として生きる」と同じ意味だ

ひととして生きなければならない

ひととして生まれ、ひととして生き、ひととして死ぬ

その一連のなかにこそ
ずっとずっと探し求めている答えがあるような気がする
つまり、すべて終わるそのときまで
わたしの一番知りたい答えはわからないまま

それでいいし、それしか生き続ける理由がない

だからきっとそういう風になっているんだろうと思う

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