帰省中で沖縄から遠く離れた場所にいて、寒いと思いつつ布団にくるまってる。
お布団のなかはあたたかく、ぬくぬくとしてる。なんだか今好きな人たちひとりひとりにわざわざ「好きだよ」と言いたくなる気分。
卒業報告のための里帰り、のはずがびっくらぽん。
身近な人たちがみな大きな病気の兆候ありで検査なう、という状態。
なんだか少し呆然としてしまって、今日はお昼すぎに一回たくさん泣いた。
泣けたのも、今のパートナーの人が偶然電話ができるタイミングで、話していたら堰を切ったようにという感じで泣いた。
愛おしい人がこの世からいなくなるという狂おしい悲しみ、ではない。
ただただ寂しかった。
しばらくの間、それがあるというだけで支えられてきた当たり前に帰ることのできる場所をなくすことが怖くなって、たくさん泣いた。
どこまでもわたしは自己中だ。
でも、その場所、つまり「実家」を新しくつくるために、やりたい仕事ができていて見たい景色を実現できる環境が整っている沖縄を出るだなんてことを選ぶなんて馬鹿げているというのはわかりやすい事実だった、自分にとって。
だって、いま結婚することを選んで、彼の大学院卒業に合わせて結婚して、彼と一緒に「実家」をつくるために生活するために彼の配属先についていく選択をして、それで一体何になるんだろう。
もちろん、今、彼以上のパートナーはいなくて、本当に沖縄での暮らしを毎日支えてくれている。大学1年の夏からずっと支え続けてくれている。
(離れた時期もあったし、傷つけたこともたくさんあったし、傷つけられたこともたくさんじゃないけどある。綺麗なだけの関係では別にない。)
お互いに子どもを授かれたらという話だってしている、こんな風に暮らしていきたいよねという未来の話だってする。
だけど、それとこれとは別のこと。
現時点での自分を冷静にみたら、今、彼と二人きりで誰も知り合いのいない場所で子育てなんて絶対できない。
絶対絶対、沖縄でたくさんのお母さんたちに助けてもらいながらシングルで子育てするほうがまだいい。
彼も同じ意見だ。
「僕が働くから君は家にいてくれていいんだよ」と言われたって、はいとはならない。
やりたい仕事がたくさんある、行きたい場所もいっぱいある。
だけれど、そんな話をしながらも、今毎日ぴったりと一緒にいる大好きな人がいない日常が訪れるのが本当に寂しいのと「実家」がなくなるこわさで涙が止まらなかった。
未来は不確かだ。
確実なのは今の選択と未来は繋がっているということだけ。
そして過去への解釈を変えていくことだけが、今を最大限に輝かせる方法だということ。
今一緒にいられる幸福を身体いっぱいで感じてるから、4月よりも後の寂しさを想像して泣いていた。
でも、彼が言った。
「大丈夫よ、今沖縄で一緒にビジョンを共有してるひとたちとの絆はとても濃いものでしょう」と。
そうだった、うまくいくかいかないかなんてわからない。
でも、わたしは、「実家」を創れるひと、その範囲を拡大できるひとになるのだった、と思い出した。そしてそれができる可能性が十分にある仲間にももう出会えていることも。
そして「だいたい結婚だなんて遠くの未来のことなんか気にする暇ないもん」と言ういつもの彼に笑って、すっかり元気がもどった。
そんなやりとりがあったことをお風呂上がりにおばあちゃんに話していたら、おばあちゃんがそっと言葉をくれた。
「そうやって真剣に、ちょっとずつでも良くなろうと生きることができるのが人間だよ」と。
その言葉をくれたおばあちゃんのことが大好きなおじいちゃんが部屋から突然でてきて、さらに言葉をくれた。
「なんでもいい、一回きりしかない人生なんだから、後悔のないように生きてください」と。
やり直せるわけではないのだから、と。
時には人を憎んでもいい、まっすぐに幸せに生きてください、と。
その言葉のなかを泳ぎ切ったあと、わたしはなんだか覚悟をし終えてた。
生きていくのだこれからも。失敗しながら傷つきながら大きな喜びのなか生きていく。
ああやっぱりお布団の中、ぬくぬくと。
いま「好き」を感じるひとたちみんなに好きになった理由を耳打ちして、抱きしめて、ついでにすこしくすぐりたい気分。
生きているからできること、身体があるからできること、たくさんしたい。
だ〜い好きだよ。

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