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皮が剥がれて

皮が剥がれていく
指でぴーっと引っ張ってやると透明なそれがぴろんと取れる
面白くてついついやっていると「きたない」と横にいたパートナーにたしなめられる

そう、パートナー
もう6年も隣にいる
小さい頃のやけどの跡のある大きな左手が特に好き
考え方や、言語化のスピード、ぜんぶ好き
こんなに素敵なひとそうそういないと思いながら隣を歩く

でも、好きなひとは彼ひとりじゃない

空港から降りたってすぐに電話をかけた相手のひとも
上野駅まで迎えにきてくれたかわいいひとも
神社で迎えてくれたちいさなひとも
神楽のなか、ふざけた動作で舞った年老いたひとも
東京の街中ばったりと出会ったやさしいひとも
駅ではにかんで立っていた小柄なひとも
沖縄のお菓子をポケットから差し出してくれたひとも

書き出していくと胸がいっぱいになるくらい
出会っているひとみんなのことを好きだと思う

ひとだけではない

見上げたときいつも表情を変え寄り添ってくれる空も
ふとしたときに大きなギフトをくれる光のもとの太陽も
その下で青々と揺れる木々の幹もその枝葉も
道沿いを埋め尽くすように色とりどりに咲く花々も

自然だけではない

耳元をうるさく飛び回る小さく完璧な造形の虫たちも
飼い主の目をまっすぐに見つめ走り寄る犬らも
ひとのエゴに付き合わされへとへとな顔をした馬も
撫でようと伸びる手をするり交わして笑っている猫も

生き物だけではない

誰かが誰かを思いつくった無機質な道路も
誰かが誰かを救いたくてつくった不恰好な制度も
誰かが誰かを守るために始めた不平等な商売も
誰かが誰かを考え建てたであろう不器用な建物も

何の差があるだろうと
この星が好きだと、そういうことを今思う

身体的なリズムに沿って揺れる性的な欲求
それと「好き」を切り離して考えてみるとこんなにも自由

精神的なリズムにのって生じる執着や破壊的な衝動
それと「愛」を切り離して考えてみればこんなにも身軽

大好きで大切なすべて
そのすべてとわたしとの間に伸びるまっすぐな線
どの一本一本も絶対的に存在し、比較などできるはずもない

すべて等しく、すべて異なる
でも、これだけが全てではない

心の底に潜っていく

もっともっと奥へ

あの女もこの女も俺の性欲を満たす相手と笑う少年
その少年の外見をあざ笑う見知らぬ女子大生
ため息をつきながらバイブ音に反応するサラリーマン
人混みのなか歩き疲れてなく子どもを叱る声

どうして、いつから、なぜ

遠く南の島が沈むという
サンゴ礁でできたその島は美しかったという
そこで暮らすひとびとの20倍のCO2を日本人がつかうという
大きな銀行あずけられたお金は環境破壊につかわれるという

会場の若者なにを思う
若者を眺める上の世代はまた何を思う

どうにもならないことなのか
どうにかできることなのか
わたしに何ができるのか

個性的なファッションの溢れる街中
見慣れてくるとみな同じ顔
個性的なものの集いなのになぜ

整った容姿、すらりと伸びた手足
でもその口から流れ出る言葉があまりに軽く
その音の調べが乏しく聞こえるのはなぜ

言葉にならず涙がでる
涙の出た理由さえ後から知る

どうして、いつから、なぜ

ぐっと水をかいて、大いなる波を腕かきいっぱい押し返し

「ねえ、本当は、どう生きたい?」

わたしはわたしに叫ぶ

なぜ生きる、なぜ暮らす
なにをもって生きるという
なにをする瞬間を生きているという
一日一日死にむかいながら
その10月10日の日々なにを探す

辺野古の海はどうなるだろう
それを見てうちのひとは何を思う
止められないと見て見ぬ振り
何が真実かを知らない奴らと嘲るあのひと

愛している愛している愛していると
声が枯れるまで叫んでみる、涙が頬つたっていく
服は裂けて裸になる
御構い無しに走りまわりかすれた声で叫んでみる

センチメンタルに浸るにはまだ早い

言葉に力をのせていく

裸で生きよう
もっともっと、やりたいことを今やろう
生きてやるのだ からだいっぱい
死んでいくのだ こころいっぱい

あなたと同じこの時代に生まれたこと幸運に思う
死んでひとつになれるのなら
生きてる間はだめでもいいや

裸で生きよう
もっともっと、やりたくないことを今やめよう
生きていくのだ、こころいっぱい
死んでいくのだ、からだいっぱい

あなたと出会えてわたしが変わって
やがて旅立つその日まで、しばしの瞬間となりでどうか

裸で生きよう
あなたと生きよう
裸で生きよう

ヒッピーになるのはまだ早い
この場所で今立つ場所で

裸で生きよう
生きてやるのだ からだいっぱい
死んでいくのだ こころいっぱい

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