「ブログを1000記事書いたら奇跡が起きるよ」
その言葉が本当かを確かめるための過程の記録

はだかで生きる

灰色、ベージュ、クリーム色。
水のちからで削られ磨かれたあとの白。
大小様々な穴のあいた岩。細かく砕けた石。
枝なのか木の根なのかわからないようなトンネル。
くぐりぬけて注意深くロープを伝い降りていく。

暗くへこんだ壁際。
とても目を合わせられない。
ただ手だけあわせ、深く頭を下げた。
かたわら、誰かのための空間。
しばらく前までは、上の岩に張っていたであろう木。
根が、まるでゆりかごのように、なにかの巣のように。

ほとんどひとが入らないんだろう、と思った。
小さな草や、小さな花が、地面に所狭しと生えていたから。
少し歩くと、やさしく広がる花畑。
はかなげな白の花、大きな大きな岩のつくる影のもと小さく揺れる。

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そろりそろりと進む。
足元にある小さな花を潰してしまわないよう。
ゆっくりゆっくり動く。
まわりの雰囲気を壊さぬよう。

自然のなかにいるとき、最初「異質」なものとして自分がそこにある。
その状態から徐々にまわりの木や根や小さい動物たちと一体になっていく。
しばらくすると溶け合い、呼吸がそろい、同質なものに戻る。
虫が腕を這おうと静かにはらえるし、羽音が耳元でしても特に避けようとも思わない。
鳥たちはすぐそばまできて何かを話しかけてくる。

そのみちのりは、纏っている何かを一枚一枚ていねいに脱いでいくことと似ている。
やっと脱ぎ終えて、そのままの自分。
岩や、頭上で揺れる木や、そばにいる生き物たちと共に、ただ在る。
下には土があり、そのずっと下に地球のまんなかがある。
反対側まで想いを馳せれば、異国の暮らし。
静かに呼吸を繰り返し、なぜかはらはらと頬に涙つたい。
目尻から溢れてはこぼれていくそれに戸惑いつつ、鼻をすすった。

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生まれてきて、生きていく。
わたしは昔あなただった、あなたは昔わたしだった。
「愛からものを食べ、愛から言葉を出し、愛から仕事をしなさい」
誰ののこした言葉だっただろうか。
ただその一文を思い出しながら、あの場所に座っていた。

鳥たちや、木々と会話ができればいいのにと、羨ましくも思う。
感じることはできても、それはあくまでわたしの内部で起きていること。
きちんと情報としてそれを摂取できたらいいのに。
小さい頃に繰り返し読んだメアリーポピンズにそんなエピソードがあった。
赤ちゃんが終わると、子どもになってしまう。
子どもになってしまうと忘れてしまう、言葉ではない言葉を、と。

風にのってきたメアリー・ポピンズ (岩波の愛蔵版 14A)

でも、「生きてる間しか五感はないのだ」という言葉を発する友だちを眺めて。
たしかにそうだ、そう思い直した。
もっともっと感じたい、皮膚で、耳で、鼻で、目で、口で。
もっと生きていきたいと思った。

ずっと前のように思えるお正月、叔父が言った「簡単なルール」を思い起こす。
資本主義の日本の社会のなかで生きていくのは簡単。
能力に応じて稼ぎ、稼げている範囲の家に住み、ものを食べる。
あわせて「お前はもう大人だ」と言ってくれていた。
これからは年齢は関係ない、余裕があるときに余裕がない者を支えるんだよ。
他にもたくさんの大切なことをならった叔父からの最後の教えはそれだった。

わたしはどのようにも生きられる。
であるのならば、よく生きたい。
もっともっとよく生きたい。

今は叔父が最後にぽつりと言っていた「余裕」をつくる時期。
ひとりで生きていける土台をつくる。
この土台ができれば、この土台から始められる。
表面的なことにとらわれずに、ちゃんとやりきる。

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場から感じた二種類のこと。
もう片方は、とても醜く、暗く、酷い人間の面だった。
重ね合わせてひとつのもの。

わたしのなかにもある、醜いところ。
弱い者を暴力でねじ伏せたこともある。
ひとに言えない悪いこともいっぱいしちゃった。
ずる賢いし、筋が通ってないところたくさんある。

なるべくはだかで、なるべくそのまま。
ひとつひとつ身体のなかに埋まっているドロドロの塊を出していきたい。
ドロドロをひとつ減らすごとに、きっと物事が進んでいく。

ひとに言えないこと、やましいこと。
弱さに負けて欲に流れ、ひとを陥れてしまう心。
もののけ姫のオッコトヌシさまから出てきた塊とも似てる。
あれを出し切った先にあるのって、キラキラした光と愛の世界とはまた違う。

どれほど醜くても、しんどくても、触れたくないようなものも
「よーがんばったなー」と「いいよいいよ」「ほいほーい」って
まるっと抱きしめられる大らかさだと思う。

失敗した数だけひとに優しくなれる。
想像力がつくんだ、たぶん。
わかるもん、失敗するきもちも、できなくて苦しくなるきもちも。

いいんだよ、いっぱい悩めば。
いっぱいまわりみちすれば。
「就活」という言葉に縛られちゃって悩んで毎日泣いてたとき。
まわりの大人のひとはそういう言葉をいっぱいかけてくれた。
同じように叔父が「自分の人生、自分で選べ」と言ってくれた。
おじいちゃんが「幸せになる道だけを選べ」と言ってくれた。
おばあちゃんが「あなたはどの道でも人の役に立てる」と信じてくれた。

そういうのも思い出してたよ。
ずっと昔に男のひとからされたことも思い出していたし、
あの日部屋でひとりぼっちになって途方にくれてた自分とも出会った。
でも、どの出来事も必ずそれだけではなかった。

どの出来事も、素晴らしい出会いを連れてきてくれた。
その出会いが今のわたしをつくってる。

すべてはひとつ。
片方だけはない、目に見えないものだけもない、目に見えるだけのものもない。
苦しさだけはない、喜びだけもない。
そうでなければ五感はいらない。
五感がいらないなら身体を持って生きている意味がない。

この生き方でどこまで生きていけるかはわからない。
一歩一歩トライ&エラーしてみよう。

わたしは昔あなただった。
あなたは昔わたしだった。
この場所を選んで、この身体を選んで生まれてきた。
「余裕がある者が、余裕のない者を支える」
「愛から仕事をしなさい」
わたしだからできること、あなただからできること。
こんなちっぽけな身体。
こんなちっぽけな立場。
こんなちっぽけな能力。

だから、たぶんどこまでも挑戦できる。

まずはわたしを。
その次に手の届く範囲にいてくれるひとのことを。
そして会いにいけるひと。
会いにいけるひとの先にいるひと。
そうやって気づいたらまるっと包んでまるっとはっぴ~。

今日も今日とてごきげんで。
明日も明日とてごきげんで。

ごきげんでいられないときもがまんせずそのまま。
泣いたり、笑ったり、怒ったり、悔しがったり。
一定じゃなくていい。
一定を保たなくていい。
揺れて揺れてまんなかへ。

ただまっすぐに筋を通して、今できることをちゃんとやる。

さ、お仕事お仕事~!
どっちも読んでくれてありがとう、あなたに幸あれ~~!びっぐらぶ!